シリーズ第4回 フランス編
出演者
松本 和将 MATSUMOTO Kazumasa
ピアノ Piano
幼い頃よりピアノに目覚め、高校在学中に「ホロヴィッツ国際ピアノコンクール」第3位など、国内外のコンクールで上位入賞。1998年19歳で「第67回日本音楽コンクール」優勝。併せて増沢賞はじめ、全賞を受賞。2001年ブゾーニ国際ピアノコンクール第4位、2003年エリーザベト王妃国際音楽コンクール第5位入賞。
これまでにプラハ交響楽団、プラハフィル、ベルギー国立オーケストラ、読売日響、日本フィル、新日本フィル、東京交響楽団、東京フィルなど、多くのオーケストラと共演。2009年から3年連続のオールショパンプログラム全国ツア一を行い、2016年より「松本和将の世界音楽遺産」と名付けたリサイタルシリーズを開始。
室内楽にも積極的に取り組み、イザベル・ファウスト、前橋汀子、宮本文昭など多くの名演奏家と共演。2010年より上里はな子、向井航とピアノトリオを結成し、2012年には東京、京都、広島を始めとする6都市で全国ツアーを行い、2016年には京都フィルとベートーヴェンの三重協奏曲を共演。
これまでに2枚のレコー ド芸術特選盤(「展覧会の絵」「後期ロマン派名曲集」)を含む18枚のCDをリリース。
東京芸術大学非常勤講師 (2008-2012)、くらしき作陽大学特任准教授、名古屋音大ピアノ演奏家コース特任准教授として、後進の指導にもあたっている。
演奏曲目
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特別対談!フランス編に寄せて
(聞き手:松本和将世界音楽遺産実行委員S)松本和将の世界音楽遺産、いよいよ第4回ですね。今回は「フランス編」ということですが、松本さんがフランス物というのは珍しい気がします。
松本 そうですね。実はこれには裏話があるんです。マネージャーから「松本くんはほっといたらドイツ物ばっかりになっちゃうけど、世界音楽遺産なんだからフランス物も入れないといけないよ」と言われまして、それでフランス物も入れることにしたと(笑)。
なんと!ではイヤイヤながらというわけでしょうか。
松本 いえ、決してそういうわけではなくて、今までも意外と弾いてきてるんですよ。ラヴェルなんかはもともと結構好きだし、またフランクは最も敬愛する作曲家の1人です。
そうでしたか。どうしても松本さんというと「ベートーヴェンソナタ全曲」やブラームス、そしてロシア物というイメージが強くなってしまいますが、いつ頃弾かれてたんでしょうか?
松本 フランクの「プレリュード、コラールそしてフーガ」はエリザベートコンクールで、「夜のガスパール」はブゾーニコンクールと人生の大事な場面で弾いてますし、その時期のリサイタルでも何度か弾いています。
その2曲を弾くようになったきっかけなどはあるんでしょうか?
松本 やはり師パスカル・ドゥヴァイヨンの影響は大きいと思います。どちらも彼の得意とする曲です。スカルボのレッスンを受けた時に、「これがスカルボだ」と言って隣で弾いてくださったほんの数小節の左手のあの恐ろしいほどの緊張感は今でも忘れられません。
たった数小節でスカルボを感じさせるとはすごいですね。フランクに関してはいかがでしょうか?
松本 これはものすごく大きな「祈り」の物語だと思います。祈りはここでは救いにつながっていますね。苦難があり懺悔をして最後には大きな光に包まれて救われる。僕はキリスト教ではないですが、神様が本当にそこにいるような敬虔な気持ちになれます。
ところで、フランス物というとまずはドビュッシーの名前が挙がると思いますが、ドビュッシーの比率が少ないですね。
松本 はい。ドビュッシーは苦手です(笑)
また爆弾発言を(笑)。では今回は今まで苦手としてきたドビュッシーの魅力に気づいたというわけですね。
松本 えっと、正確にいうとドビュッシーは好きではない、ということですね(笑)。しかし「喜びの島」は好きです。本当はバランスを考えてもう1,2曲ドビュッシーを入れたかったんですが、やはりラヴェルが弾きたくて…
ドビュッシーとラヴェルと言うとなんとなく似た作曲家と思う方も多いかと思いますが、松本さんにとって2人の作曲家の違いは?
松本 これはもう、全然違いますね!なんとなく響きが似てる瞬間があるというだけで、何もかも違うと言ってもいいくらい。ドビュッシーはその時その時の風景を楽しむ感じなのに対して、ラヴェルは最後にたどり着く場所が大事ということかな。ドビュッシーの曲を聴くと「あぁ、いろんな景色が見られたなぁ」と思う、ラヴェルは「なんと、最後にこうなるのか!」と思う。
ラヴェルって屈折してますよね。喜びを爆発させてるように見えてどこか斜に構えてたり、実は不協和音を紛れ込ませてたり、悲しみも孤独感も見せてるようで多分ホントのところは見せてない。そういうところが余計切なく感じさせるのかもしれないですね。
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主催 世界音楽遺産実行委員会
制作 株式会社クロスアート
制作協力 株式会社タクトミュージック
後援・楽器提供 タカギクラヴィア株式会社
協賛 柏屋楽器